山地流域における雨水の流出プロセスの把握は,洪水防止,水資源管理,流域保全のために重要です.雨水の流出プロセスは地形.地質・植生など,場の条件が複合的に関与していることが示され,様々な洪水予測手法が提案されてきています.しかしこれまでの研究の多くは丘陵地や中小起伏山地における観測に基づくものが大半でした.特に,大起伏山地を呈する山地源流域においては,アクセスの難しさや観測機器が流されてしまう等,観測データ自体が乏しく,実態そのものが十分に把握されていません.
一方,国内外には日本の中部山間地域をはじめ多くの大起伏山地が存在します.このような地域の水資源管理や洪水予測などの流域の保全を考えるために不可欠な研究課題です.そこで,本研究室では,静岡県の大井川上流域(井川演習林)において,河川流量の詳細なモニタリングに基づく降雨流出機構の解明に取り組んでいます.その結果,近年徐々に実態が解明されつつあります.