「流域」とは水・地形・植生・人間が複雑に関与しあうシステムの最小単位を意味します. 近年, 流域で発生する土砂災害・水資源管理・森林管理が大きな問題となっていますが, これらの問題を解決するためには流域全体を把握した上で総合的に取り組まなければならないということが明確になりつつあります.
我々「流域管理研究室」は, 流域源流部からの土砂移動現象, そしてこの土砂移動現象によって発生する災害をはじめ, 土砂移動現象へ影響を与える植生や降雨の状態, 長期的に植生や降雨へ影響を与える地球温暖化現象などを物理モデルや観測・実験で解析し, その結果を人工衛星によるリモートセンシングや生態モデルによって俯瞰的に解析することで, 問題の解決に取り組んでいます.
流域管理研究室での研究活動は, 流域における土砂災害のメカニズムの解明・防災技術の開発に取り組む「砂防」と, 水資源・森林資源・人の活動を人工衛星が取得したリモートセンシングデータを用いて解析する「リモートセンシング」の2つに大分されます.
砂防グループでは, 筑波大学の井川演習林や, 国内複数ヶ所の河川において現地調査をしつつ, 模型実験による解析に取り組んでいます. また, 国土交通省 国土技術政策総合研究所をはじめとした国内外の機関と共同して研究に取り組んでいます.
リモートセンシンググループは, 人工衛星が取得したリモートセンシングデータを解析することで植生の活性や, 森林のバイオマス量, そして土地の被覆・利用の動態の解明などに取り組んでいます. さらに, リモートセンシングによる解析結果を検証するために, さまざまな大学演習林・国の研究所が管理する森林をふくむ全国津々浦々へと出向き, 現地調査をおこなっています. 加えてリモートセンシングデータの取得・解析に関してはJAXAと, 現地調査で用いる機材の開発に関しては産業技術総合研究所と協力し, 研究をすすめています.
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現在, 流域管理研究室では留学生や社会人学生をふくむ多様な学生が多く在籍しています.
近年頻発する大雨・長雨や土地改変など, 様々な理由で日本での土砂災害は増えています. 今後, 日本で我々がより良く暮らしていくためにはこれらの災害の発生するメカニズムを知り, 災害による影響を減らす必要があります. そのためには, 砂防を学び, 流域の管理についてソフト・ハードの両面で精通した人材が不可欠であり, このような人材は今後ますます社会で必要とされると考えられます.
また, 近年では過去から現在に至るまで開発された様々な種類の人工衛星が常時地球を観測しており, 膨大な量のデータが蓄積されています. これらのデータを活用・分析することにより, 新たな価値の創造, そして自然現象の真理をグローバルに探求することができると考えられており, 国だけでなく, 民間による宇宙開発も盛んになりつつあります. そのため, 産・学・官を問わず, 人工衛星によるリモートセンシングの技術とノウハウをもった人材は. 活躍する場が多くあります.
以上のように今後の日本, ひいては地球規模の問題を解決しうる研究を一緒にやってみませんか? 河川が好きなあなた, 宇宙が好きなあなた, 現地調査が好きなあなた, パソコンによるデータ解析に習熟したいあなた, ぜひ流域管理研究室で共に切磋琢磨しあいましょう!