果樹に着目したJAXA日本域高解像度土地利用土地被覆図の多項目化

 土地利用土地被覆図 (Land Use and Land Cover map; LUJLC map) は、持続可能な農業管理や環境保全などにおいて重要な基盤情報である。日本国内を対象としたLULCマップはすでに様々なプロダクトが開発されているが、なかでもJAXAの 高解像度土地利用・土地被覆図 (HRLULC) は、高解像度・高精度・高更新頻度であること、および日本の独自の景観を反映した分類体系を持ち、特に優れたプロダックとである。だが、こうした利点がある一方で、その最新版(2024JPN_v25.04)において、果樹園に関する情報が不足しているという課題がある。

 社会的なニーズの高まりとともに、この課題は無視できないものとなりつつある。具体的には、クマを誘引しやすい “かき” や “くり” などの樹種をマッピングすることは、野生動物との接触、及びそれによる人的被害を緩和するために不可欠である。さらに、栽培期間が長期にわたり移動が困難な果樹は気候変動に脆弱と考えられ、その空間データは気候変動適応策を講じる上でも必要不可欠となる。

 本研究では、階層的分類手法を採用し、JAXAの分類体型 (既存15カテゴリ) を27カテゴリに拡張することで、樹種別果樹園カテゴリを有する日本全国LULCマップを開発した。

・第1階層分類: “落葉果樹園” および “常緑果樹園” を含む20カテゴリーのベースマップを構築。 ・第2階層分類: “落葉果樹園” をさらに主要8樹種(“りんご”, “なし”, “かき”, “もも”, “おうとう”, “うめ”, “ぶどう”, “くり”,) に細分化。

 2024年の多時期Sentinel-2/MSIデータおよびALOS-2/PALSAR-2データを用い、JAXAが開発した分類器 “SACLASS2.5” を使用して分類を行った結果、全体精度(Overall Acvcuracy; OA)は第1階層分類で93.2±0.5 %、第2階層次分類で85.2±3.5 %を達成した。本研究は、樹種別の果樹園カテゴリーを含む国内初の高解像度全国LULC地図を提供するものであり、野生動物管理や気候変動に強い農業などを支える重要な資源となることが期待される。

 本研究の成果物 “2024JPN_v26.02_orchard” は、“https://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~utlulc/” より公開している。

キーワード: 果樹園, 土地利用・土地被覆図, HRLULC-Japan, 詳細化, カテゴリ追加