持続可能な土地利用の計画や環境保全を推進する上で、土地利用・土地被覆(Land Use/Land Cover: LULC)の現況把握は極めて重要である。広域の地表面を継続的に観測できる衛星リモートセンシング技術は、LULCマップの作成において不可欠な役割を担っており、得られるデータは農業・防災・環境保全など多岐にわたる分野の基盤情報として活用されている。
日本国内においては、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)により高解像度土地利用・土地被覆図 (HRLULC) が数年おきに更新・公開されており、非常に高精度なデータセットが整備されている。一方で、海外、特に東南アジア諸国を対象とした高解像度プロダクトは、当研究室が貢献してきたベトナム・バングラデシュなどの一部地域を除き、依然として発展途上の段階にある。現在、JAXAから公開されている東南アジア向けの広域プロダクトは、2023年を対象年とした「2023SEA_v25.09」等に限られているのが現状である。
特にインドネシアは「地球の肺」とも称される広大な熱帯林を有し、生物多様性維持やカーボンサイクルにおいて極めて重要な地域である。しかし近年の経済開発に伴い、アブラヤシ等のプランテーション拡大や、泥炭地の排水による乾燥化、それに付随する山火事や煙害(Haze)の発生、温室効果ガスの放出といった深刻な環境問題に直面している。こうした背景から、気候変動対策や適切な土地管理を行うために、詳細かつ最新のLULC情報が強く求められている。
そこで本研究では、インドネシア西部を含む周辺領域を対象として、高精度なLULC分類を試みた。 分類カテゴリは「水域, 人工構造物, 1期作水田, 2期作水田, 3期作水田, 畑, 草地, 落葉樹, チークプランテーション, 常緑樹, マングローブ, ゴムプランテーション, ヤシプランテーション, 裸地, 養殖池, 湿地」の17個とした。 分類アルゴリズムへの入力データには, 光学衛星 (Sentinel-2/MSI) および合成開口レーダー (ALOS-2/PALSAR-2 ScanSAR) の多時期画像,およびその他補助データを用意し, 分類アルゴリズム “SACLASS2.5” (JAXAが開発) による分類を行った. その結果, 17カテゴリで全体精度 (Overall Accuracy OA) が95.0±1.0 %のLULCマップが作成され, 詳細かつ高精度なLULCマップの作成に成功した.
本研究の成果物は、“https://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~utlulc/” において近日リリース予定である。
キーワード: Indonesia, 土地利用・土地被覆図, HRLULC-Japan