シラバス参照

公式版のシラバスを表示  
最終更新日:2022/02/24  

EC12331   基礎数学

3.0 単位, 1 年次, 春ABC 金3; 秋ABC 月3
奈佐原 顕郎

授業概要

生物資源学類全般の学習・研究の基礎として必要となる数学を学ぶ。特に, 物理学, 化学, 経済学, 統計学入門, 物理学実験, 化学実験, 数理科学演習, 実用解析I, II, IIIなどで必要となる数学を学ぶ。リアルタイムで出席し, グループワークに参加すること。

備考

「基礎数学」(EC12051)、「基礎数学I」(EC12311)及び「基礎数学II」(EC12321)を修得した者は履修できない。
その他の実施形態

授業方法

講義

学位プログラム・専門コンピテンスとの関係

カリキュラムマップに記載されたもの:
汎用コンピテンス2. 批判的・創造的思考力 ... 数学の論証と議論を通じて論理的な批判能力を身につける。
専門コンピテンス2. 専門の基礎となる教養 ... 各種専門分野に必要な数学を習得し, 数学の必要性・有用性を理解する。

それ以外:
汎用コンピテンス1. コミュニケーション能力 ... グループワークを通じて養う。
汎用コンピテンス3. データ・情報リテラシー ... 計算機を用いたプログラミング・数値解析を学ぶ。
汎用コンピテンス5. 心身の健康と人間性・倫理性 ... テストやレポートを題材に, 学問的誠実さとその必要性について議論する。
汎用コンピテンス6. 協同性・主体性・自主性 ... グループワークを通じて養う。
専門コンピテンス4. ICTの活用 ... オンラインでの授業・レポート出題提出・グループワーク等を行う。

授業の到達目標(学修成果)

生物資源学類の学習・学究に必要な数学の基礎の理解・習得。数学の必要性・有用性の理解。数学の考え方(特に公理主義)の習得。学問全般にわたる学習観の 更新(学びのアップデート), すなわち, 自分に合った学び方の発見・習得, 読解力・表現力・数的感覚といった認知能力の向上, 意欲, 協調性, 粘り強さ, 忍耐力, 計画性, 自制心, 創造性, コミュニケーション能力, 倫理観などの非認知能力の向上, 自分を客観視し内省するメタ認知能力の向上。

キーワード

微積分・線型代数・統計学・微分方程式・ベクトル解析・認知能力・非認知能力・メタ認知能力・内省・学びのアップデート

授業計画

生物資源学類は自然科学・社会科学の広範囲にわたる課題を扱う。この授業ではそれらの学習・学究に役立つような, 普遍性・実用性の高い数学(特に微積分, 線型代数, 確率統計, 数値解析とそれらの具体的応用例)を厳選して学び, 数学の必要性・有用性を理解する。抽象的・体系的な数学の学習を通じて, イメージや直感だけに頼らず, 定義と論理的言語操作によって概念を表現・理解するスキルを習得する。学びとは何かを考え, 得点や成績といった他者による評価を重視するような学習観から, 思考過程・理解・納得に関するメタ認知を重視する学習観に切り替える(学びのアップデート)。予習・自習を前提とし, グループワーク(受講者どうしの相談・議論を伴う課題や問題演習)を中心とする「反転授業」を採用する。学習過程全般を通じて, 認知能力と非認知能力をともに伸ばし, 専門家及び市民として自立し社会を支えるために必要な資質をバランスよく養う。

第1回 ガイダンス, 物理学・化学の授業のための微分・積分・ベクトル
第2回 微分(「数学入門」5章)
第3回 指数・対数(「数学入門」6章)
第4回 三角関数(「数学入門」7章)
第5回 これまでの復習・演習(1)
第6回 積分(「数学入門」8章)
第7回 微積分の応用と発展(「数学入門」9章)
第8回 これまでの復習・演習(2)
第9回 線形代数学1: ベクトル(「数学入門」10章)
第10回 線形代数学2: 行列(「数学入門」11章)
第11回 これまでの復習・演習(3) , プログラミング
第12回 論理・集合・記号(「数学入門」12章)
第13回 確率(「数学入門」13章)
第14回 統計学(「数学入門」14章)
第15回 これまでの復習・演習(4) , プログラミング
第16回 微分方程式(ロジスティック方程式, ロトカヴォルテラ方程式, ミカエリスメンテンの式)(「応用数学入門」2章)
第17回 線型代数1: 対称行列と直交行列(「応用数学入門」3章)前半
第18回 線型代数1: 対称行列と直交行列(「応用数学入門」3章)後半
第19回 線型代数2: 線型空間(「応用数学入門」4章)
第20回 線型代数3: 線型同次微分方程式(「応用数学入門」5章)
第21回 線型代数4: 線型写像と線型微分演算子(「応用数学入門」6章)
第22回 線型代数5: 線型独立・基底・座標(「応用数学入門」7章)
第23回 これまでの復習・演習(5) , プログラミング
第24回 線型代数5: 計量空間・フーリエ級数(「応用数学入門」8章)
第25回 ベクトル解析1: 場の量の演算, スカラー場とベクトル場, ナブラ演算子(「応用数学入門」14章前半)
第26回 ベクトル解析1: 場の量の演算, 勾配, 線積分, ポテンシャルエネルギー, 電位と静電場(「応用数学入門」14章前半)
第27回 ベクトル解析2: フラックス, 発散(「応用数学入門」15章)
第28回 ベクトル解析3: ガウスの発散定理, ストークスの定理(「応用数学入門」16章)
第29回 ベクトル解析4 マクスウェル方程式と電磁気学(「応用数学入門」17章)
第30回 これまでの復習・演習(6) , プログラミング

- 「基礎数学」という名の「基礎」とは、「やさしい」「初歩」という意味ではなく「諸科学の基礎」という意味である。
- 基本的に2冊の教科書に沿って授業を進める。しかし, 授業では教科書をそのまま解説するようなことはしない。受講者は授業時間外に教科書を自学自習することが求められる。その成果を、授業での小テストやグループワークで確認し深める。
- 適宜テレビ会議システム(MS-TEAMS)を用いたライブ講義であり, 予習前提・グループワーク主体の反転授業である。
- 春学期教科書「大学生のための数学入門」の第1章〜第4章は, 授業外で自習しておくこと。授業は第5章から始める。
- 原則的に, 小テストを, 毎回, 授業冒頭に実施する。授業最後にも実施することがある。小テストは事前にサンプル問題が公開されることがある。
- 原則的に, 毎回, 授業直後にリアクションペーパーを課す。これによって内省のスキルを高める。
- 原則的に, 毎回, レポートを出題する。原則的に, レポートは相互閲覧可とする。これによってレポートを書くスキルを高める。
- 期末試験は行わない。そのかわり期末レポートを出題する。
- 小テスト・レポートは主にmanabaを使ってやりとりする。
- ただし, 最大限の教育効果を発揮するために, これらの計画・方針は受講者の状況や大学・社会の状況に応じて, 適宜, 変更する可能性がある。
- 大学の学びは, 高校までの学びとは質的に異なる。高校で理解したと思っていることも, 大学で学び直すことで, 違う観点や深い理解を得られるものである。それを元に, さらに高いレベルの学びが積み重ねられるのだ。従って, 高校での得意・不得意や, 既習・未習にかかわらず, 謙虚に丁寧に学ぶこと(この授業では, 高校で数学が得意だったという人も脱落することがあるし, 高校で数学が苦手だったという人がトップクラスの数学力を身につけることもある)。

履修条件

1. 教科書を入手し, 手元に用意し, 丁寧に読むこと。
2. 読み飛ばし・つまみぐいの勉強をしないこと。自学自習すること。
3. グループワークに積極的に参加すること。学類や学年, 年齢, 性別, 出身などによらず, 同じグループになった仲間と分け隔てなくコミュニケーションし, 助け合うこと。仲間との約束を守り, 自分の役目を果たすこと。
4. リアルタイムで提供される授業は, たとえ録画が後から提供されたとしても, リアルタイムで受けること。
5. 秋学期「数理科学演習」の履修を強く薦める。数理科学演習で学ぶPythonプログラミングのスキルが, 秋学期の本授業で大いに役立つだろう。

成績評価方法

レポート・小テストによる。

学修時間の割り当て及び授業外における学修方法

自学自習を助けるためにレポートを課す。グループ内で協力して取り組むこと。大学の規定(履修要覧7ページ)にあるように, 1週あたり少なくとも3時間の自学自習がこの授業のため必要である。ただし, 学力には個人差があるので, 人によってはこの2倍以上の自習が必要になってもおかしくない。

教材・参考文献・配付資料等

以下の1, 2の教科書を使う。1は春学期, 2は秋学期に使う。必ず入手しておくこと。3は必読の副読本。数学には読解力が欠かせない。授業でレポート課題に出す可能性がある。

1. 「ライブ講義 大学1年生のための数学入門」講談社 (第3刷以降) https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/search/?q=9784065146750
2. 「ライブ講義 大学生のための応用数学入門」講談社 https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/search/?q=9784065212967
3. 「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」光文社新書 https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/search/?q=9784334033224

オフィスアワー等(連絡先含む)

原則的に, 授業に関する連絡は全体にはmanabaに, 個別には大学支給の学生メールアドレスに向けて出す。
教員への連絡は, 電子メール(nasahara.kenlo.gw@u.tsukuba.ac.jp)またはTEAMSチャット(ビデオ会議も可)で受け付ける。
細かいアドバイスとかはツイッターに出しています: https://twitter.com/nshrknl

奈佐原 顕郎  
nasahara.kenlo.gw@u.tsukuba.ac.jp http://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~nishida/

その他

当授業は筑波大学全学学類・専門学群代表者会議の企画「BRIDGE〜他学類・専門学群の授業を受けてみよう」において、「学生視点から筑波大生におすすめできる各学類・専門学群の授業63科目」のひとつに選ばれています。

他の授業科目との関連

EC12081 物理学
EC12262 数理科学演習
EC23021 実用解析II
EC12371 統計学入門
EC23011 実用解析I

ティーチングフェロー(TF)・ティーチングアシスタント(TA)

大学院生が1名, TAとして勤務する。春学期と秋学期で交代する。詳細は授業で紹介・説明する。