とらりもん - 分光放射計 Diff
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!作成者
*2008/06/24 本岡 毅
!はじめに
分光放射計は、波長ごとの光の強度を測る機器です。
PENでは、MS700/MS712(by 英弘精機)という、屋外対応の分光放射計を使っています。MS700は、分光放射照度(半球から入射する単位面積・単位時間あたりの光のエネルギー: 単位 [W/m^2] )を、波長間隔 3.3nm、波長範囲 350nm〜1100nm(可視〜近赤外領域)で測定できます。一方、MS712は、波長間隔、波長範囲 900nm〜1700nm(近赤外〜短波長赤外領域)で測定できます。
このMS700/MS712を、回転装置(詳しくは、[[HSSR]]を見ること)に取りつけて、PCやデータロガーを使って制御することで、地表面(キャノピー)の分光反射率の時系列変化を調べることができます。また、得られた分光反射率をつかって、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index: 正規化植生指数)やPRI(Photochemical Reflectance Index: 植物のキサントフィルサイクルを反映する指数)などのような分光指数を計算することもできます。こうした分光学的情報から、植物の生理生態を調べようとする研究は数多く試みられているところで、まだまだ大きな可能性を秘めています。
PENの大部分のサイトでは、MS700が設置されていて(高山、高山スギ、筑波大、真瀬水田、富士北麓、苫小牧など)、最長で4年以上はきちんと観測を続けています。また、PENの一部のサイトでは、PGS-100(by PREDE)という、MS700と同じような分光放射計が使われているところもあります(桐生など)。
MS712は、今年(2008年)の春に高山と真瀬水田に設置され、観測がはじめられたところです。
(注: 最近では、MS710という、観測バンド(波長帯のこと)がMS700の2倍になったものも、MS712と同時にリリースされたようです。)
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_1.PNGhttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_1.PNG
''放射照度(irradiance)と放射輝度(radiance)の違い。放射照度は半球の全方向から入射するエネルギーであるが、放射輝度は単位立体角あたりの入射エネルギーである。srは、ステラジアン(立体角の単位)。[本岡作成]''
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_2.JPGhttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_2.JPG
''つくば市真瀬の水田に設置されたMS700とMS712。遠近の距離感があるので写真ほどではないが、MS712のほうがサイズは大きく、重い。 [2008年4月に撮影、本岡]。''
!MS700のつかいかた *説明書に書いてあることなので、そちらを先に見てください。
!!まずはセットアップ
MS700と電源ボックスを、付属の10芯ケーブル(黒色で太い)でつなぐ。ケーブルの10本の線それぞれに番号が記してあるので、それと電源ボックスの番号が一致するように接続する。
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_3.JPGhttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_3.JPG
''10芯ケーブルを電源ボックスにつないだところ。''
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_4.JPGhttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_4.JPG
''MS700につないだところ。となりの銀色の部分には、シリカゲルが入っている。''
PCと電源ボックスを、付属のシリアルケーブル(RS232C)でつなぐ。そのため、PCにはシリアルポートが必要。ない場合は、シリアルポート増設カード(PCMCIA or PCI-Express)、もしくは、USB-シリアル変換ケーブルを使う。ただし、USB-シリアルは、Windows上で長期連続使用すると通信が不安定になるという報告がある(LinuxならばOKということは確認済み)。
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_5.JPGhttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_5.JPG
''シリアル(RS232C)ケーブルを電源ボックスにつないだところ。''
電源ボックスを付属のケーブルでコンセントにつなぐ。
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_6.JPGhttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_6.JPG
''電源ケーブルをつないだところ。''
PCと電源ボックスの電源をONにする。順序はどちらが先でもかまわない。
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_7.JPGhttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/MS700/MS700_7.JPG
''電源スイッチの場所。となりにヒューズがある。''
!!測定のしかた
PCに、MS700用のソフトウェアをCD(またはフロッピー)からごっそりコピーする。それらをいれておくフォルダを、例えば C:\MS700などとする。デスクトップにショートカットを作っておくと便利。
データ格納用のサブフォルダ C:\MS700\data を作る。
SP-DAC.exeを起動。MS700がつながれているポートが聞かれるので、チェックを入れてOK。ポートがわからない場合は、適当にトライアンドエラーしてみるといい。
上部メニューにある「測定」をクリック。「測定実行」をクリック。すると、測定したスペクトルがグラフで表示される。
!!データの解析
SP-MAN.exeを起動。
!!注意すること
*PCから認識できない場合は、電源をもういちど確認する。ヒューズ(電源ボックスにある)がとんでいないか調べる。ケーブルに断線がないか調べる(テスターを使おう)。
*本体のセンサ部は汚さないよう、傷つけないように。汚れたら、やわらかい布などで綺麗に拭くこと。
*ときどき、MS700本体についているシリカゲルを交換すること。フライパンとかで熱すればまた使える?
!番外編: 「LinuxでMS700」への挑戦
*wine ver.1 + ubuntu 8.04 で試みるも、失敗。ソフトは起動できるが、本体との通信がうまくいかない。(2008/06/24)
http://pen.agbi.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/wine_MS712.pnghttp://pen.envr.tsukuba.ac.jp/~RStiger/fig/wine_MS712.png
*2008/06/24 本岡 毅
!はじめに
分光放射計は、波長ごとの光の強度を測る機器です。
PENでは、MS700/MS712(by 英弘精機)という、屋外対応の分光放射計を使っています。MS700は、分光放射照度(半球から入射する単位面積・単位時間あたりの光のエネルギー: 単位 [W/m^2] )を、波長間隔 3.3nm、波長範囲 350nm〜1100nm(可視〜近赤外領域)で測定できます。一方、MS712は、波長間隔、波長範囲 900nm〜1700nm(近赤外〜短波長赤外領域)で測定できます。
このMS700/MS712を、回転装置(詳しくは、[[HSSR]]を見ること)に取りつけて、PCやデータロガーを使って制御することで、地表面(キャノピー)の分光反射率の時系列変化を調べることができます。また、得られた分光反射率をつかって、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index: 正規化植生指数)やPRI(Photochemical Reflectance Index: 植物のキサントフィルサイクルを反映する指数)などのような分光指数を計算することもできます。こうした分光学的情報から、植物の生理生態を調べようとする研究は数多く試みられているところで、まだまだ大きな可能性を秘めています。
PENの大部分のサイトでは、MS700が設置されていて(高山、高山スギ、筑波大、真瀬水田、富士北麓、苫小牧など)、最長で4年以上はきちんと観測を続けています。また、PENの一部のサイトでは、PGS-100(by PREDE)という、MS700と同じような分光放射計が使われているところもあります(桐生など)。
MS712は、今年(2008年)の春に高山と真瀬水田に設置され、観測がはじめられたところです。
(注: 最近では、MS710という、観測バンド(波長帯のこと)がMS700の2倍になったものも、MS712と同時にリリースされたようです。)
''放射照度(irradiance)と放射輝度(radiance)の違い。放射照度は半球の全方向から入射するエネルギーであるが、放射輝度は単位立体角あたりの入射エネルギーである。srは、ステラジアン(立体角の単位)。[本岡作成]''
''つくば市真瀬の水田に設置されたMS700とMS712。遠近の距離感があるので写真ほどではないが、MS712のほうがサイズは大きく、重い。 [2008年4月に撮影、本岡]。''
!MS700のつかいかた *説明書に書いてあることなので、そちらを先に見てください。
!!まずはセットアップ
MS700と電源ボックスを、付属の10芯ケーブル(黒色で太い)でつなぐ。ケーブルの10本の線それぞれに番号が記してあるので、それと電源ボックスの番号が一致するように接続する。
''10芯ケーブルを電源ボックスにつないだところ。''
''MS700につないだところ。となりの銀色の部分には、シリカゲルが入っている。''
PCと電源ボックスを、付属のシリアルケーブル(RS232C)でつなぐ。そのため、PCにはシリアルポートが必要。ない場合は、シリアルポート増設カード(PCMCIA or PCI-Express)、もしくは、USB-シリアル変換ケーブルを使う。ただし、USB-シリアルは、Windows上で長期連続使用すると通信が不安定になるという報告がある(LinuxならばOKということは確認済み)。
''シリアル(RS232C)ケーブルを電源ボックスにつないだところ。''
電源ボックスを付属のケーブルでコンセントにつなぐ。
''電源ケーブルをつないだところ。''
PCと電源ボックスの電源をONにする。順序はどちらが先でもかまわない。
''電源スイッチの場所。となりにヒューズがある。''
!!測定のしかた
PCに、MS700用のソフトウェアをCD(またはフロッピー)からごっそりコピーする。それらをいれておくフォルダを、例えば C:\MS700などとする。デスクトップにショートカットを作っておくと便利。
データ格納用のサブフォルダ C:\MS700\data を作る。
SP-DAC.exeを起動。MS700がつながれているポートが聞かれるので、チェックを入れてOK。ポートがわからない場合は、適当にトライアンドエラーしてみるといい。
上部メニューにある「測定」をクリック。「測定実行」をクリック。すると、測定したスペクトルがグラフで表示される。
!!データの解析
SP-MAN.exeを起動。
!!注意すること
*PCから認識できない場合は、電源をもういちど確認する。ヒューズ(電源ボックスにある)がとんでいないか調べる。ケーブルに断線がないか調べる(テスターを使おう)。
*本体のセンサ部は汚さないよう、傷つけないように。汚れたら、やわらかい布などで綺麗に拭くこと。
*ときどき、MS700本体についているシリカゲルを交換すること。フライパンとかで熱すればまた使える?
!番外編: 「LinuxでMS700」への挑戦
*wine ver.1 + ubuntu 8.04 で試みるも、失敗。ソフトは起動できるが、本体との通信がうまくいかない。(2008/06/24)