打ち込みを助けてくれる便利な機能
筑波大学農林工学系 奈佐原(西田)顕郎
注: Ubuntu Linux 16.04を想定しています。
打ち込んだコマンドを再利用しよう!
シェルにコマンドを打つときに, 一部だけを打ち間違えることがよくある。あるいは, 既に打ったコマンドと同じようなコマンドを再度、打ちたいこともよくある。そのようなとき、コマンドを新たに最初から打ち直すのは面倒だ。そこで、既に打ち込んだコマンドを呼び出して再利用できる機能がある。
たとえば、dateコマンドを打ち込んでみよう:
$ date 2020年 1月 10日 金曜日 11:00:03 JST $
ここで、キーボードの上矢印(↑)キーを押す! すると、
$ date
という具合に、今打ったばかりのコマンドが再現される。それに続いて--helpと打てば、
$ date --help 使用法: date [オプション]... [+フォーマット] もしくは: date [-u|--utc|--universal] [MMDDhhmm[[CC]YY][.ss]] Display the current time in the given FORMAT, or set the system date. -d, --date=STRING display time described by STRING, not `now' ....
というふうに、dateコマンドの使いかたが出てくる。
このように、キーボードの上矢印(↑)キーを1回押せば、直前に打ち込んだコマンドを再現でき、それを編集することもできる。そればかりではない。実は、上矢印(↑)キーをたくさん押せば押すほど、さらにさかのぼって前に打ち込んだコマンドを再現できる。この機能は、UNIXの標準機能ではないが、昨今のUNIXのシステム(シェルシステム)には、ほとんど装備されている。非常に便利なので、ぜひ活用して欲しい。
コピー・ペーストを活用しよう!
長いコマンドやURLなどを正しく打ち込むのは大変である。そういう場合、コピー・ペーストが便利である。Linuxのウィンドウ・システム(X-Windowシステムと呼ばれる)では、マウスを使って文字列のコピー・ペーストをする機能が備わっている。
例:
このように、X-Windowシステムの上でのコピー・ペーストは、Windowsのアプリケーションにおけるコピー・ペーストとは違って、 CTRL+Cキーを押したり、「編集」のメニューから「コピー」を選んだり、ということは必要ない。マウスの左ボタンで選択し、中ボタンで貼りつけ、というだけである。
注意: コピー・ペーストは、確かに便利であるが、授業や実習で、ウェブ上のテキストからコマンドをコピー・ペーストするのは、あまり好ましくない。コマンドは、面倒でも自分の手で打ち込むようにしよう。そうしないと頭に入らないし、身につかない。そういうのを「面倒くさい」と思って横着をすると、結局、習得の効率が落ちるので、却って時間の無駄である。何事も、学習の秘訣は「急がばまわれ」である。ウサギとカメの話である。アリとキリギリスの話である。
なので、コピー・ペーストを使うのは、「打ち込んだコマンドがなぜかエラーで動かない」というときの確認などにとどめておこう。
長いファイル名の補完機能
コマンドに続けてディレクトリ名やファイル名を打ち込むとき、あるていどの部分を打てば、あとはその部分から始まるファイル名を自動検索して補完してくれる機能がある。これは、長いファイル名を打ち込むのが面倒な時に、非常に便利である。
たとえば、ls -l /usr/localというコマンドを、楽して打ち込んでみよう。まず中途半端にこんなふうに打ち込んでストップする:
$ ls -l /u
ここでTabキー(キーボードの左上のあたり)を押すと、
$ ls -l /usr/
と、自動的に/usr/まで表示される。さらに、
$ ls -l /usr/lo
と、また中途半端に打ち込んで、Tabキーを押すと、
$ ls -l /usr/local/
というふうに、自動的に補完してくれる。
この機能は、似たような名前のファイルやディレクトリが複数あるときは使えない。そういうときは、もう少し長いところまで名前を打ち込んでTabキーを押すと、うまくいったりする。
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References:[Unix/Linux入門] [数値地形モデル(GTOPO30)のダウンロードと読み込み] [2018_実用解析]