とらりもんHOME  Index  Search  Changes  Login

地上検証情報の収集

2012/03/22 筑波大学 田中 健太郎

本章を読む前に、フィールドワークの心得を熟読のこと。

※読んでいる中で、もっとこうした方が良い思う箇所があれば、適宜文章を修正して頂いて構いません。

※文章の修正に必要なログインIDとパスワードは、こちら

※文章の書き方は、こちら

はじめに

データ解析した場合、その解析結果が正しいかを検証するのは当然である。衛星データから作成した土地被覆分類図の検証には、地上での検証情報が必要である。

地上検証情報の収集方法は、以下の3種類に分類される。最も信頼性のある地上検証情報を収集するには、現地調査が有効であるのは言うまでもない。しかしながら現地調査には、多大な時間とお金が必要である。そのため作成する土地被覆図の精度やカテゴリー数を考慮することはもちろんであるが、地上検証情報作成に費やすことのできる労力も考慮した上で、検証情報収集方法を選ぶ必要がある。

   既存地図やデータの利用
       利点 : 労力が少なくて済む。
       欠点 : 作成された時期以外に適用する場合、正確性に不安が生じる。既存のカテゴリーより細かい分類は出来ない。

   リモートセンシングデータ (人工衛星, 航空機) から判読
       利点 : 現地検証よりコスト (時間, 資金) がかからない。作成する分類図と同様のデータを判読に用いる。
       欠点 : 地上検証情報より正確性に欠ける。リモートセンシングデータの撮影日以降の土地被覆の変化は捉えられない。

   現地調査による収集
       利点 : 樹種や作物種の判別まで可能であり、最も正確。
       欠点 : 労力が必要。リモートセンシングデータと同日のデータを得ることは難しい。地形などの影響で現地踏査が困難な地点については、検証情報は得られない。

検証情報の品質管理 (Quality Control)

検証情報は、闇雲にたくさん採取すればよいというわけではない。データの品質が非常に重要である。特に、自分が収集した検証情報を他の人が使えるようにすることは重要である。なぜなら前述の通り、土地被覆情報の収集には、多大な時間と資金が必要な作業である。そして同じデータは、世の中に存在しない。データの品質管理をしっかりと行うためには、そのデータがいつ、どこで、どのように作成されたなどの情報 (メタデータ) を記録し、メインのデータと共に保管する必要がある。

観測項目一覧

検証情報の品質を一定以上に保つために、最低限取得すべき"基本項目" と 取得が望ましい"追加項目" を設定した。

基本項目 (必須)
  • ID (通し番号など事前に設定)
  • 撮影対象
  • 撮影日時
  • 天候
  • 観測者
  • 土地被覆 (事前設定のカテゴリー名 + 詳細な情報)
  • 撮影機器等
  • 撮影対象のスナップ写真を撮影。 (2,3枚〜)
  • 到達地点を基準とし、対象地点の方位を記録。
  • 到達地点の緯度経度。 (GPSのマーク機能)
  • 周辺の様子を簡易スケッチする。 (撮影地点および方位の記録が望ましい)
  • 写真枚数
追加項目 (記録することが望ましい)
  • 撮影位置の撮影。 (撮影位置に目印となるような物を写すことが望ましい。)
  • 写真撮影地点から4方向 (東西南北) のスナップ写真を撮影。(撮影順番を記録)
  • 特徴的な植生や構造物のズーム写真の撮影。

現地調査による地上検証情報収集マニュアル

ここでは、実際に現地調査による検証情報収集を行う場合の手順を紹介する。

持ち物

野帳
地図
対象地域の衛星画像を印刷した用紙
デジタルカメラ 
GPS (GARMIN GPSMAP 60CSx)
カラーコーンなど目印になるもの
ワークシート

事前準備

1. 観測機器のバッテリーをフルに充電。
2. カメラやGPS等の記録媒体の容量を確認。基本的に以前のデータは消去する。
3. GPSとカメラの時刻を合わせる。

※GPSの位置決定精度が良い地点で行う。

IMG_7951.JPG
4. GPSのトラックログを設定する。

※既にデータがある場合は、一度ログをクリアする。

IMG_7952.JPG
5. 観測地点の選定

各カテゴリーにつき、何点観測するかを設定する。

例)
森林 50点
耕作地 30点
都市  20点

6. 詳細な地図が存在する場合、観測地点までの移動経路を事前に決定する。

※詳細な地図が手に入らない場合は、GPSとPCを組み合せたライブトラッキングなどを活用する。

IMG_7948.JPG
7. 観測地点が表示された衛星画像 (トルーカラー画像や作成中の土地被覆分類図など) を紙媒体に印刷しておく。

IMG_7945a.JPG IMG_7950a.JPG

観測時

1. 対象地点にもっとも近い地点に到達。

※アクセスが物理的な厳しい場合や私有地である場合は、無理をしない。

2. 観測日時、天候、観測者などの情報をワークシートに記録。

IMG_7970.JPG

3. 対象地点の土地被覆を記録。(事前に設定したカテゴリー名 + より詳細な情報)

※判断不能な場合は、写真を使い、その道の専門化に聞く。

4. (誤差が±3 m or ±11 ft になるまで、静止後、) 到達地点をGPSでMARKする。通し番号を記録。

※GARMIN GPSMAP 60CSxでは、MARKボタンがあるので、押す。

5. 到達地点を基準にし、対象地点の方角を記録。
例) 南西
6. 対象地点の写真を撮る。2~3枚以上。複数枚が望ましい。多くて困ることはない。

※全体を捉えた写真、対象にズームした写真の取得が望ましい。

耕作地 (観測対象)

IMGP2706.JPG IMGP2708.JPG

7. 到達地点の写真を撮る。カラーコーンなどの目印を置くとよい。

※再び同じ場所での撮影ができるように記録を残す。

8. 到達地点を基準にし、4方位の写真をとる。とった順番を必ず記録する。

例) 北→東→南→西の順番で写真をとる。

IMGP2710.JPGIMGP2711.JPGIMGP2712.JPGIMGP2713.JPG 西

9. その他、周辺に特徴的な構造物や注目する植生があれば、ズーム写真等を取得する。
10. 野帳に可能な限り詳しい周辺状況をスケッチする。
※到達地点、対象地点、到達地点からの方位、スケッチ内の方位情報 (北の方向を記録)の記録は必ず行う。
11. 撮影した写真枚数を記録。
Last modified:2012/03/22 11:25:48
Keyword(s):
References:[GARMIN 60CSx]