この実習では, 諸君のスマホを使って小さな「野外調査」を経験してもらう。4~5人の班に分かれて, 班の中で協力・工夫しながらデータをとって解析する。テーマは全球測位衛星システム(GNSS)と電子コンパスを使った位置計測である。位置計測は野外調査で重要な基礎技術なので, それを修得すること自体が諸君の将来に役立つだろう。しかしそれだけではないのだ。
研究現場では, 安全管理が重要である。そして(分野によるが)数1000万円するような高価でデリケートな機械がばんばん使われる。危険を伴う実験を高価な機械で行うにはそれなりに「しっかりした人」でないと困る。大学1, 2年生はまだ「しっかり」していない人が多いので, いきなりは怖いのだ。
「しっかりした人」とは, 適切な判断ができ, 責任と慎重さを持ち, 常に自分で考えながら物事を確実に処理できる人だ。それは心構えだけの話ではない。様々な調査研究現場を経験し, 計測機械に触れた経験を持ち, たくさんのトラブルとその解決を経験し, 「調査研究って&計測機械ってこういうものだ」ということを体得している必要がある。だから最初はまず, 小さな規模の調査研究で安くて手軽な計測機械をいじって経験を積むことが必要・有用である。
それに好適なのがスマホである。スマホは手軽だがいろんなことができる多目的計測機器である。実際諸君は「基礎数学」で音のスペクトルの計測を, 「物理学」で傾斜の計測をやったではないか。今回はスマホの中にある「野外調査向き」の機能を使ってさらに経験を積もう。それが「全球測位衛星システム」と「電子コンパス」である。これらは調査地点の位置を記録することや, 位置情報を元に目的地まで到達すること(ナビゲーション)において大変有用なセンサーである。そしてほぼ確実に諸君のスマホにも入っているだろう。
つまり, 今回の実習は野外調査で気をつけねばならぬこと(それは屋内での実験研究にも言えること)を頭と体で理解し, 少し「しっかりした人」になることが目的であり, それは近い将来の卒業研究につながるのだ。
実習自体は屋外で約1時間で終わるものだが, その前に, 屋内で事前学習をしておこう。それによって現場での作業が安全・スムーズにいくだろう。
事前学習に進もう。
その後,
実習に取り組もう。