2022/09/08
実験して実感する生物環境計測の物理学
趣旨(再掲): 生物環境の調査研究では計測が重要である。近年は多くのセンサーが多くのデータを出してくれて, それをビッグデータとしてどのように扱うかが研究の焦点になりつつある。しかしその一方で, そもそもまだ測れないものや, 測れても何を見ているのかわからないデータも多い。そのような場合は計測の基礎となる物理学に戻って理解・議論することが有用・重要である。ところが物理学の厳密かつ体系的な学習に挫折して, 物理学は難しい・苦手という院生が多い。そこで, 本講では手軽な機材を使った実験を通して, 計測の基礎となっている物理学を経験的に実感・理解することで, 物理学的なアプローチの学び方を学ぶ。特に, 歳差と偏光は, 日常的経験で得た直感が通用しない興味深い現象でありながら, 遠隔計測(リモートセンシング)の重要な原理でもあるので, これらに絞って取り組む。これによって, 物理学に肯定的な印象と興味を持つことにつながれば, 各学生が各分野で自分の研究に幅と深さを得ることにつながるだろう。(9/08は偏光について実施します。歳差は9/15に予定)
- 講義: 光の発生する仕組み: 双極子放射と重ね合わせの原理
- 講義: 偏光の仕組みと性質(直線偏光, 円偏光, 複屈折, 偏光軸)
- 実験: 偏光板を使った直線偏光の観察(クロスニコル, 偏光軸の射影)
- 実験: 偏光状態の変化1(鏡面反射, ブルースター角)
- 実験: 偏光状態の変化2(複屈折: 方解石, プラスチック)
- 実験: 微小粒子による光散乱と偏光(牛乳液)
- 実験: 偏光状態の変化3(偏光面の回転: 光学異性体, 砂糖水)
- 講義: 偏光を使った森林・土地被覆リモートセンシング
- 講義: 偏光を使ったエアロゾルリモートセンシング
- 講義: 偏光を使った降雨リモートセンシング
- 実験(余ったら): 回折格子による分光の仕組み