第15章のコメント
学生のリアクションペーパーから
ラプラシアンとデルタはどう書き分けるのですか?
… 前者は△, 後者はΔというふうに私は書き分けています。正三角形と, 縦長の三角形。
ポテンシャルエネルギーは保存力がはたらく場合に定義されるエネルギーという認識であっているのでしょうか? … 合っています。
面が物理量の流れる向きに平行であった場合にフラックスがゼロになるのはなぜなのか(教科書p.188左上)。例えば摩擦が働いた場合、多少なりとも面はエネルギーを受け取っているとは言えないのか?
… どの物理量に着目するかが大事です。物質(質量)の流れはそれに平行な面を通過しません。そこに摩擦が働く場合に面を介して流れる物理量は物質(質量)ではなく運動量(力積)です。実際, 動摩擦力は「運動量フラックス」という, 面に垂直なベクトルとして定義することができます。
座標の取り方は右手系や左手系があり、分野によっても座標軸の取り方が異なる場合がある、といった話が以前の授業でありました。今日の授業で扱った問233のような問題を表す時、軸の取り方によっては、例えば面A′を通って流れ込む水の量を示す式でuの符号などは変化してしまうのでしょうか?
… それは無いです。面の向きも流れの向きも同じ座標で定義するので変わりません。
なぜgrad fの性質2で「変化させる」という語句を使っているのか?始めから「増やす」ではダメなのか?
… だから(増やす)と書いてあります。「変化させる」という語を入れたのは, 学習者の理解のためにひとつクッションを入れたのです。それが無用と思えばスルーして下さい。
問233(2)のf(A)は(15.13)式を用いて表されている(つまりフラックスを表している)ということですか? だとすればおそらくdydzは(15.13)式のAで(-1,0,0)がn(法線ベクトル)でUがFにあたると思うのですが、(-1,0,0)でなぜx成分がマイナスになっているのかがやはり分かりません。
… f(A)はフラックスではなく体積(わる時間)を考えていますよ。面Aの単位法線ベクトルは(1, 0, 0)か(-1, 0, 0)ですよね。そのうち, 直方体の内側から外側に向かう向きのものはどちらでしょうか? 図15.9の左下に描かれている座標系に注意して, もういちど考えてみて下さい。