Google Earthをさわってみよう
Google Earthについて
Google Earthは、Google社がインターネット上で無料公開している、一種のGISソフトである。専門的なGIS解析を処理する機能は持っていないが、地球上の全ての場所を、かなりの高分解能で、シームレスに、しかも三次元的に表示することができ、さらに、その上にユーザー独自の地理情報を重ねて表示することができる。そのような観点から、Google Earthは、表示用のGISソフトとしては、価格も機能性も、他の追随をまったく許さない、優れたものであると言えよう。
環境科学研究でも、野外観測地点の情報などを整理して表示したり確認するのに、Google Earthは有用である。そこで、Google Earthに独自の地理情報を表示させる方法を学ぼう。これができるようになれば、諸君は手持ちの地理情報を、計算機で統合的に扱うという、GISの本来の目的の第一歩を踏み出すことができる。
ただし、Google Earthを利用することの弱点も認識しておく必要がある。それらはおもに以下のようなことである:
1. データやソフトウェア内部での処理に関する情報が公開されていないため、表示されている内容がどこまで信頼できるものか、明確ではない。
2. 特に、表示されているデータがいつのものなのかがわからない。
3. 基本的に無料のソフトウェアだが、今後もずっとそのようなサービスをGoogle社が提供しつづける保証は無い。
Google Earthに独自のGISコンテンツを載せる
Google Earthは、Googleが用意した衛星画像や空中写真を表示してくれるだけでなく、ユーザーが独自に地理情報コンテンツを作って表示することができる。そのやりかたを学ぼう。なお、詳細は、Google Earth ユーザー ガイドを参照。
1. 目印(Placemark)
地球上の一点を指定することを、Google Earthでは「目印」とかPlacemarkと呼ぶ(一般にGISでは「サイト」とか「ポイント」と呼ぶこともあるが)。では、試しに、我々が現在いるところに目印を置いてみよう。
1. Google Earthを起動し、筑波大の理科系修士棟付近を表示する。
2. メニューの「追加」から「目印」を選ぶ。
3. 以下のような画面が出てきて、
「名前」に「筑波大学理科系修士棟」と入力し、OKをクリック。
4. すると、以下のように、「場所」の中の「お気に入り」に「筑波大学理科系修士棟」という記述が現れる。
これで「目印」を作ることができた。これによって、Google Earthでどこを見ていても、これをクリックすれば、筑波大の理科系修士棟にすぐに飛んでくることができる。ためしに、ぜんぜん違う場所を表示した後、上の図の「筑波大学理科系修士棟」というところをダブルクリックしてみよう。
同様に、つくばセンターにも「目印」を置いてみよう。
「目印」には、コメントなどをつけることもできる。それには、「筑波大学理科系修士棟」というところを右クリックして「プロパティ」を出す。
この「説明」の中に、適当に文章を入れてOKを押す。すると、地図上のマークをクリックするとその説明が表示されるようになる。
2. パス (Path)
2箇所の離れた場所をつなぐ、線(折れ線でもよい)のことを、Google Earthでは「パス」と呼ぶ(一般にGISでは「ライン」と呼ぶこともあるが)。たとえばつくばセンターから筑波大の理科系修士棟まで、ペデストリアンを使って来る経路を「パス」として表現して登録してみよう。「目印」と同様に、「追加」「パス」を選んで、あとはマウスでパスの要所要所をクリックしていけばよい。
このとき、画面をスクロールさせるには、カーソルキーを使うのが便利。
3. ポリゴン (Polygon)
線で囲まれた多角形領域を、ポリゴンと呼ぶ(一般のGISでもこの用語は使われる)。たとえば、筑波大学の北部キャンパス(図書館情報学群キャンパスを除く)を、ポリゴンにしてみよう。「追加」「ポリゴン」で、あとはマウスで範囲を囲っていく。ここで、「スタイル、色」のタブを開いて、「範囲」を「枠線」にしておこう。すると、ポリゴンの境界が見やすく表示できる。
独自GISコンテンツの保存
以上のようにして作ったコンテンツも、そのままGoogle Earthを閉じれば消えてしまう。そこでこれらを保存しよう。
上で作ったそれぞれのコンテンツを個別に保存してもよいのだが、面倒なので、まずひとつにまとめよう。「場所」の中の「お気に入り」を右クリックして、「追加」「フォルダ」を選ぶ。 そうして、「GIS概論の練習」というフォルダを作る。そして、上で作ったコンテンツを、ぜんぶその中にドラッグ・ドロップしよう。
それができたら、「GIS概論の練習」を右クリックし、「名前を付けて保存」を選び、GIS_training.kmlというファイル名で保存する。
これでコンテンツの保存が完了。各自のハードディスクにこのファイルができていることを確認せよ。もちろん、これをUSBメモリなどに入れて持ち運ぶことも可能。
では、Google Earthをいったん終了し、再度、起動してみよう。既に「GIS概論の練習」が「場所」の中にあるだろう。もし無ければ、「ファイル」「開く」で、GIS_training.kmlを指定すればOK。
KMLについて
Google Earthに独自のGISコンテンツを載せるには、KML (keyhole markup language)という記述様式に従う。 Google Earth KML 2.0 Tutorial
上で作った、GIS_training.kmlというファイルも、KMLで記述されている。KMLのファイルは、ふつうのASCIIテキストファイルなので、テキストエディタなどで直接に編集することもできる。諸君が野外調査などで得たデータをGoogle Earthに読み込ませる場合は、kmlファイルをエディタなどで直接編集するほうが早いこともあるかもしれない。
ここでは、先に作ったGIS_training.kmlをテキストエディタで表示してみよう。
他の人が作ったKMLファイルを読み込めば、その人のコンテンツを見ることもできる。ためしに、 GIS_training2.kmlを、右クリックして保存せよ。そして、Google Earthの「ファイル」「開く」で、このGIS_training2.kmlを開いてみよ。この中には、1980年代以降に噴火したいくつかの代表的な火山などが入っている。
世の中には、独自に作ったKMLファイルをウェブなどで公開している人がたくさんいる。 Google Earth KMLなどで検索してみよ。
→ GIS入門に戻る。
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