カラーテーブル
筑波大学農林工学系 奈佐原顕郎
カラーテーブル
ひきつづき、数値地形モデルを処理しながら、GRASSの重要な概念を学ぶ。
以下、GRASS:~>はGRASSのコマンドラインのプロンプトのしるしであり、ユーザーは打ち込む必要は無い。(その後を打ち込むこと)
前回のようにGRASSを起動せよ。
カラーテーブルについて
ラスターデータを表示する際、ピクセル値に応じた色を(グラデーションで)割り当てることによって、擬似的なカラー表示(シュードカラー;pseudo color)を実現する。たとえばいま我々が扱っている画像では、低標高を黄、高標高を緑とする色の割り当てて地形が表示されている。このような、ピクセル値と色の対応のことを、カラーテーブルと呼ぶ。
カラーテーブルは、ユーザーが任意に設定できるが、無数のピクセル値のランクに無数の色を割り当てるのは大変な情報量の作業になってしまうので、デフォルトでいくつかの代表的なテーブルが用意されている。それを以下でためしてみよう:
GRASS:~> r.colors GTOPO_E100N40 color=grey (白黒のカラーテーブル) GRASS:~> d.rast GTOPO_E100N40
GRASS:~> r.colors GTOPO_E100N40 color=wave (ピンクから緑のグラデーションのカラーテーブル) GRASS:~> d.rast GTOPO_E100N40
しかし、これらのカラーテーブルは、見た感じ、どれもイマイチなので、我々が独自にカラーテーブルを作ってしまおう。まず、テキストエディタ(viなど)で、以下のようなテキストファイルをcolor.txtというファイル名で作る:
GRASS:~> vi color.txt
-1000 black 0 blue 200 green 400 yellow 800 brown 1500 red 2000 white 4000 white 10000 black nv black
注意:ファイルの末尾に空白行を入れないこと。空白行が入っていると、エラーが起きる。ちなみにviで行を削除するコマンドはdd。
このファイルをもとにカラーテーブルを設定するのは、以下のようなコマンドである:
GRASS:~> r.colors GTOPO_E100N40 color=rules < color.txt
- grass7では"r.colors GTOPO_E100N40 rules=color.txt"とする。(2018/04/23追記 菊島)
GRASS:~> d.rast GTOPO_E100N40
GRASS7.0.0では、
GRASS:~> r.colors GTOPO_E100N40 rules=color.txt GRASS:~> d.rast GTOPO_E100N40
ただし、どんな図表を作るときも、色盲・色弱の人達へ配慮して、彼らにとってまぎらわしい色づかいをしないようにしよう。参考:色盲の人にもわかるバリアフリープレゼンテーション法...「色盲は世界的にはAB型の血液型の頻度に匹敵し、極めてありふれた存在なのです」
GRASSのコマンドについて
以上で体験したように、GRASSのコマンドは、
(英数1-2文字).(機能)
という名前をしている。語頭につく英数1-2文字は、コマンドのおおまかなカテゴリーを表していて、
r. (raster) ラスターデータに対するコマンド d. (display) 表示に関するコマンド g. (general) 動作環境一般に対するコマンド v. (vector) ベクターデータに対するコマンド
などがある。
GRASSのコマンドは、こちらのウェブサイトにマニュアルが(機能別に)まとめてある。例も豊富に載っているので、GRASSにある程度慣れたら、マニュアルを参照して必要な機能を修得していって欲しい。また、それぞれのコマンドの用法の要点は、既述したように、
GRASS:~> コマンド --help
と打ち込むことでも表示される。"コマンド --help"で簡単な用法のマニュアルが表示されるのは、GRASSコマンドだけでなく、UNIXのコマンド全般にも言える。たとえば、ls --helpとすれば、lsの用法が出てくる。
課題:r.in.bin, d.mon, d.rast, g.region, r.colorsの各コマンドについて、ウェブサイトのマニュアルを確認せよ。また、それぞれについて、コマンドラインから-help引数を与えることで用法の要点を確認せよ。
→ GIS入門に戻る。
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