人工衛星から推定した光合成有効放射量と水稲収量予測への有用性

水稲は人々の食を支えるという点で大変重要です. 稲の収量が極端に不足・過剰な場合には各国及びその周辺国の経済にも大きな影響を与えます. 故に, 稲の収量予測は経済的に非常に重要なミッションであると言えます. 従来, 稲の収穫量予測にはアメダス (AMeDAS) の日射量データが用いられていました. しかしながら, アジア・アフリカに位置する途上国ではアメダスの様な地域気象観測ネットワークがないため, 日射量データを用いた収量予測は難しいです.

そこで, 我々は稲の生育に不可欠な要素だといえる光合成有効放射量 (Photosynthetically Active Radiation: PAR) を人工衛星データから簡易的に推定し, 推定 されたPARが水稲の収量予測に有効かどうかを検証しました.

衛星データから推定した日本のPARマップ 衛生データから推定したPARと作況指数の関係 アメダスの日射量と作況指数の関係

写真左は人工衛星データから推定した日本本土のPARの分布です (赤: PARが高い, 青: PARが低い). 図からわかるとおり, 長野県松本市周辺 (松本盆地) が一番PARが大きいことがわかります. 写真中は人工衛星データから推定したPARと, その年の水稲の作況指数の関係, そして写真右はアメダスから得られる日射量と作況指数の関係を表しています. 人工衛星データから推定したPARのほうが, アメダスの日射量よりもよく作況指数を推定できていることがわかります.

対象地を世界に広げ, より広範囲で検証することが今後の課題です.