総合的な現地調査に基づく深層崩壊発生場の予測に関する研究

研究の概要

深層崩壊は、基岩内にすべり面を持つ大規模な崩壊で、表層崩壊(がけ崩れ)に比べて発生頻度は低いが、発生すると甚大な被害をもたらします。また、天然ダムの形成を含め河川に供給された大量の不安定土砂が下流域に長期にわたって大きな影響を及ぼします。実際、国内においても深層崩壊や天然ダムにより2011年の紀伊半島大水害などの地域社会に壊滅的な打撃を及ぼすことがあります。また、世界に目を向けると台湾、インドネシア、スリランカなど世界各地で多くの人命が失われる深刻な被害が発生しています。

そのため、深層崩壊や天然ダムによる土砂災害の防止・軽減の上で、深層崩壊の高精度な発生予測はきわめて重要な課題です。しかし、発生頻度も低いこともあり、発生メカニズムには不明な点が多く、発生予測手法を構築されているとは言い難いのが現状です。そこで、本研究室では、深層崩壊の主要な発生場である中・古生層堆積岩地質の大起伏産地(静岡県の大井川上流域や台湾の中央山脈)において、地形・地盤構造・水門プロセスなどの総合的な現地調査に基づき、深層崩壊のメカニズム解明と発生予測手法の開発に取り組んでいます。