論文の書き方

筑波大学農林工学系 奈佐原(西田)顕郎

卒論・修論に取り組む学生さんに贈る。

2000/2/10作成; 2003/8/11改訂; 2004/07/22改訂; 2004/12/28改訂; 2005/12/06改訂; 2007/02/15改訂; 2011/02/22改訂; 2013/01/09改訂; 2014/01/31改訂; 2014/03/26改訂

投稿論文の書き方についてはこちらも見て下さい。

 世の中, 「論文の書き方」の本やウェブコンテンツはたくさんありますが, その多くは構成や論旨の組み立て方についてであり, 論文書きの最小限の約束事(慣習), たとえば「どういう字体を使うか」とか「参考文献をどういう列挙するか」などについて整理しているものは少ないようです。実際, それらは分野ごと・学会誌ごとに慣習があって互いに微妙に違ったりするので, なかなか統一的に整理するのが難しいのです。

 とは言え, 学生さんの書く論文の多くは慣習を逸脱しすぎです(笑)。そのせいでせっかくの論文の資料価値が損なわれるのは残念です。そこで私が学生さんの卒論・修論にいつもコメントすることを, 以下にまとめておきます。

注意: 以下のルールは世間的には少しきつめでしょう。上述したように, 慣習は分野や雑誌によって違うので, これらに従わないケースもあるでしょう。なので, ここで書く内容に反する慣習はありえます。もしそれが不合理でなければそれも尊重すべきでしょう。このページはあくまで学生のあなたが「論文の書き方」について指摘を受けたり恥をかいたりすることがないようにするのが目的であり, 分野間の慣習の違いをネタに無用の軋轢や不寛容を生じるのは本意ではありません。

心構え

0. 嘘を書いてはいけない!
論文は小説とは違います。事実と違うことを事実であるかのように書いてはいけません。

1. きれいなデータだけを選んだり切り貼りしてはいけない!
研究者は, 何かの発見について報告する時, その根拠となるデータは, なるべくきれいなものであって欲しいと思うものです。その発見について自身があればあるほど, そう思うものです。しかし, だからといって, 自分にとって都合の良いきれいなデータだけを選び出し, そうでないデータは削除する, というようなことは, 決してやってはなりません。現状のデータに満足できなければ, その原因をしっかり考えて, 改めてデータを取り直すべきです。ただし, その「満足できない」という態度は, 汚いデータだけでなく, きれいなデータに対しても向けられるべきです。きれいなデータが偶然で, 汚いデータが必然だったのかもしれない, という謙虚な態度を忘れてはいけません。

2. 細かく書こう!
他の誰かがあなたの研究を再現・検証しようと思ったときに, あなたの論文から全ての必要な情報に辿りつけねばなりません。従って, 実験・観測などの条件は徹底的に細かく詳細を書き込みましょう。それは年月日(場合によっては時刻も!)・場所・機械(名称とバージョンとメーカー)・ソフトウエア(名称とバージョンとメーカー)・処理手順などを含みます。

3. 「ものを知らない人」にもわかるように書こう!
 どんな雑な書き方をしても, その内容に慣れている人や賢い人ならわかってくれるものです。しかし科学技術的な文書は, 基本的には誰でも理解できなくてはなりません。ところが世の中の教科書や卒論・修論の多くは「わかる人にしかわからない」ような文書です(私の感触では)。なので, あなたは論文を書くときに先輩の卒論などをお手本にしてはダメです。たいてい失敗します。

 少なくともあなた自身が「これ以上わかりやすく書くことはできない」と思うくらいに徹底的に丁寧に噛み砕いて書いて下さい。そうやってわかりやすい文章を書こうとすると, 文章の論理に一貫性とつながりを持たす必要があるし, 記述を正確に(誤解されないように)する必要があることに気づくでしょう。
 わかりにくい・不正確な文書はトラブルのもとです。わかりにくい文書が機械のマニュアルになれば, 故障や苦情や問い合わせがメーカーのサポートセンターに殺到します。わかりにくい文書が契約書になると, 契約違反の訴訟が頻発し, 莫大な時間と弁護士費用がかかってしまいます。
 だから, 世の中ではわかりやすい文書を書くスキルが重視されるのです。あなたが将来, どのような道を歩むかによらず, このスキルはあなたの人生において重要なのです。

4. 誤解されない文章を書こう

- 複数の意味を持つ言葉は, 慎重に使うこと。例: 「正確な値が求められる」...「求められる」は「得られる」「要望される」のどっちの意味?
- その形容詞はどの語にかかるのか? 例: 「緩やかな花崗岩の風化が進んだ斜面」...「緩やかな」は「花崗岩」「風化」「斜面」のどれにかかる?
- そういうのは文脈(意味)からわかるだろ!という考え方はダメ。「わかっている人にしかわからない文章」になってしまう。論理は文脈で表現するのではなく, 文章の構造や形式で表現すること。
- 文章の中の事実関係や論理に矛盾は無いか? ... 矛盾があると, 読者は「何が正しいのか」判定できないので, 全ての情報や考察は無意味になります。
- 自分が書いた文章を, 出来る限りひねくれた意地悪な視点で誤読・曲解することを試みるべし。誤読・曲解ができない(あるいは, 誤読・曲解に対して明確な反論ができる)ような文章になっていればOK。
5. 認知負荷の小さい文章を書こう
- 見たり聞いたりするときに, 内容を把握し理解するときのめんどくささのことを「認知負荷」といいます。
- 認知負荷は譬えて言えば注射の痛みのようなものです。熟練の看護師さんは, 患者に痛みを感じさせずに注射します。文章も同じ。上手な文章は認知負荷を与えずに読者に理解させます。
- 認知負荷の大きい文章(=めんどくさい文章)は, 読者がすぐに投げ出します。読んでもらえません(泣)
- 認知負荷を下げるには, 読者の脳内に「対応表」をなるべく作らせないことが大事。
- たとえば同じ概念を複数の異なる言葉で表現されていると, 読者は1つの言葉を見たときに, ああ, これはあの言葉と同じ意味だな, という「対応表」を作ることになります。すると脳がしんどいのです。だから, 同じ概念を複数の異なる言葉で表現することはできるだけ避けるべきです。
- データの記述形式も認知負荷を左右します。たとえば年月日でmm/dd/yyyyやyyyy/mm/ddとyyyy/jjjを混ぜると, 日付同士の「対応表」を読者は脳内に作る必要が出てくる。これも脳がしんどいのです。
- 専門用語は小説における登場人物みたいなものです。小説読むとき, 「これ誰だっけ?」ってなるとつらいですよね。ああいうかんじ。小説の登場人物はキャラ立ちが必要なのと同様に, 専門的な文書では, できるだけ正確な言葉(定義がはっきりしている言葉)を統一的に使い, 必要最小限に留めるべきなのです。
- 慣習(記号や書体の使い方)を守るべし ... 読者をびっくりさせない・苛立たせない。
- 自分が書いた文章を音読すべし。すらすら音読できないなら, どこかに「痛み」が残っている。友人や後輩にも音読してもらおう!
6. 自分の個性(文体)を大切に
- 「良い文章」には「唯一の正解」は無い。誤解されず, 認知負荷が小さい文章ならば, どんな文章でも「良い文章」です。あなたはあなたらしい方法で「良い文章」を作ればいいのです。
- 人の文章を自主的に真似するのはOK。というか, 素晴らしい。換骨奪胎。そうやって自分の文体を作っていくのです。
- 人の言う事を聞き過ぎてはダメ。「人に直してもらう」ことを期待しすぎてはダメ。自分の文章の細かい表現を他人に徹底的に直されると, 心が萎縮してしまって, 良い文章が書けなくなります。どんなに稚拙であっても, 自分の文章は自分で作るのです。
- 細かい文章表現を誰かに直して欲しい時は, プロフェッショナルな編集者に頼もう。プロでない人に頼むと, 結局は「その人の文体」に引きずり込まれるだけ。
- プロでない人に文章を試し読みしてもらうときは, 細かい表現についての意見はあまり参考にせず, 「何パーセントくらい理解してもらえたか」「誤解されていないか」「すらすら読んでもらえたか」ということについて意見をもらおう。

文字の選び方・並べ方

 英文では, コンマやピリオド(パンクチュエーション), コロン":", セミコロン";", 括弧")"の後ろには必ず1スペースをあける。(ただし, コンマやピリオドが連続する場合は, その間にはスペースは入れない。)

特に引用文献の表記において, これが守られていないケースがあまりにも多い。

×: Baldocchi,D.,Valentini,R.,Running,S.,Oechel,W.,and Dahlman,R.,1996, Strategies for measuring and modelling carbon dioxide and water vapour fluxes over terrestrial ecosystems. Global Change Biology, 2, 159-168.

○: Baldocchi, D., Valentini, R., Running, S., Oechel, W., and Dahlman, R., 1996, Strategies for measuring and modelling carbon dioxide and water vapour fluxes over terrestrial ecosystems. Global Change Biology, 2, 159-168.

 数式の変数は斜字体で表記する。それに上付き・下付きの記号が着く場合, その記号が数列の添字のように変数的な意味を持つならばその記号も斜字体, そうでなければその記号はブロック体(斜字体ではない普通の書体)で表記する。

×: exp (-E/kT)

○: exp (-E/kT)

 元素記号はブロック体。sinやcosやlogのような関数も, ブロック体で表記する。

×: exp (-E/kT)

○: exp (-E/kT)

 単位はブロック体で表記する。

×: 1.23 m/s

○: 1.23 m/s

 だれだれたちというときの「たち」にあたるet al. という表記は斜字体で表記する。

×: Baldocchi et al., 1996

○: Baldocchi et al., 1996


図表

 図や表には必ずタイトルをつけること。「図1」や, 「表5」などのような番号付けだけでは不可。図のタイトルは図の下側に, 表のタイトルは表の上側に書く。

 表にはあまり罫線を入れない(特に縦の罫線)。

 むやみに色を使わない

 論文は, やむを得ない場合をのぞき, 基本的に白黒印刷されたり白黒コピーをとられることを前提にして作るべきである。むやみに色を使うのは, 色盲の人に対しても不親切である。色盲に配慮した色使いについてはこちら

 もちろん, 色を使うことによってグラフがわかりやすくなるのは確かだが, たとえ白黒にされてもなおわかりやすいように工夫した上で, 色を使うべきである。
 プレゼン用のグラフも, 配布資料として白黒印刷される可能性を念頭に置いて作る必要がある。

 グラフの外枠や背景色は不要。

MS-Excelのデフォルトでグラフをかくと, 外枠や背景色が設定されてしまうが, これらは不要, というか邪魔である。

特に背景色は, コピーや印刷時にグラフを不鮮明にするので避ける。

 グラフのデータ記号には, なるべく似たものを使わない。

●と◆などは, ぱっとみて区別しづらい。
たとえ色を別にしても, コピーや白黒印刷するときには区別しづらくなってしまう。

 軸の説明や凡例には, 日本語だけでなく英語を入れること。

学術雑誌の多くは, 日本語論文であっても図表は英語でかくことを規定にしているケースが多い。


良くない例


改良例

 図も表も, かならず本文中から引用すること。

本文で引用されない図や表は出してはいけない。

 地図には必ずスケール,方位,凡例(カラーバーなど)を入れること.

 グラフには必ず軸の説明(量,単位)を入れること.


引用文献

 文献リストは[1] 著者の姓のアルファベット順にならべるか, もしくは[2] 引用順に番号をつけてならべる。

[1]の場合, 少なくとも第一著者は姓を先に書き, ファーストネーム(およびミドルネーム)の頭文字を後に添える。また, [1]の場合, 同一著者の論文が複数あれば, 発行年の順に並べる。この場合, 同じ発行年のものがあれば, 1970a, 1970bなどのように, 小文字のアルファベットをつけて区別する。

また, 欧文論文の題名は, 最初の語の語頭だけを大文字にすること(ただし固有名詞などは別)。逆に, 欧文雑誌名は, 冠詞・助詞以外の各語の語頭を大文字にすること。また, 著者名を全部大文字で書くのは一般的ではないので避ける。

著者は, 全員, 記載すること。"et al."で略して良いのは, 本文や図表注釈に記述するときだけ。文献リストではひとりも略さず, 全員の名前を記載する。

 雑誌名を略称で記載するときは, 各雑誌の決められた略称を使うこと。それを調べるにはこちら

文献リストの例: (ブラウザによっては乱れる可能性があります)

Allen, W. A., Gausman, H. W., and Richardson, A. J. (1970a): Mean effective 
    optical constants of cotton leaves. Journal of the Optical Society of 
    America, 60(4), 542-547.
Allen, W. A., Gausman, H. W., and Richardson, A. J. (1970b): Plant canopy 
    irradiance specified by the Duntley equations. Journal of Optical Society 
    of America, 58(8), 1023-1028.
Asrar, G., Fuchs, M., Kanemasu, E. T., and Hatfield, J. L. (1984): Estimating 
    absorbed photosynthetic radiation and leaf area index from spectral 
    reflectance in wheat. Agronomy Journal, 76, pp. 300-306.
Asrar, G., Myneni, R. B., and Choudhury, B. J. (1992): Spatial heterogeneity in 
    vegetation canopies and remote sensing of absorbed photo-synthetically active 
    radiation: a modeling study. Remote Sens. Environ., 41, pp. 85-101.
Carlson, T. N. and Ripley, D. A. (1997): On the relation between Normalized 
    Differential Vegetation Index, fractional vegetation cover, and leaf area 
    index. Remote Sens. Environ., 62, pp. 241-252.
Gillies, R. R., Carlson, T. N., Cui, J., Kustas, W. P., and Humes, K. S. (1997): 
    A verification of the 'triangle' method for obtaining surface soil water 
    content and energy fluxes from remote measurements of the Normalized Difference 
    Vegetation Index (NDVI) and surface radiant temperature. International Journal
    of Remote Sensing, 18(15), pp. 3145-3166.
近藤昭彦 (1996): 講座「蒸発散」V. 広域蒸発散の推定法(2)−リモートセンシングによる
    広域蒸発散量の推定法−.ハイドロロジー(日本水文科学会誌), 26(4), pp. 
    267-280.
Price, J. C. (1984): Land surface temperature measurements from the split window 
    channels of the NOAA 7 Advanced Very High Resolution Radiometer. Journal 
    of Geophysical Research, 89(D5), pp. 7231-7237.

ダメな例:

PRICE, J. C. (1984): Land Surface Temperature Measurements from the Split Window Channels of the NOAA 7 Advanced Very High Resolution Radiometer. Journal of Geophysical Research, 89(D5), pp. 7231-7237. Allen, W. A. et al. (1970a): Mean effective optical constants of cotton leaves. Journal of the Optical Society of America, 60(4), 542-547.

 その論文に出てこない文献を文献リストに挙げてはならない。

論文中では触れなかったけど参考になる文献というものがあっても, 文献リストには出さないこと。

 本文から文献を引用する場合, 著者の姓と発行年を記載するか(上記9.の[1]の場合), もしくは文献リストの番号を記載する(上記9.の[2]の場合)。前者の場合, 著者が2人までなら全員の姓を出すが, 著者が3人以上になると, 第一著者以外は「ら」「ほか」(和文文献の場合)や"et al."(欧文文献の場合)などとする。

 例えば, Carlson, T. N. and Ripley, D. A. (1997) : On the relation between Normalized Differential Vegetation Index, fractional vegetation cover, and leaf area index. Remote Sens. Environ., 62, pp. 241-252.を引用する場合,

× T. N. Carlson and D. A. Ripley (1997)によるシミュレーション結果では,

× Carlson et al. (1997)によるシミュレーション結果では,

○ Carlson and Ripley (1997)によるシミュレーション結果では,

○ 放射伝達モデルに基づくシミュレーション結果(Carlson and Ripley, 1997)によると,

 例えば, Gillies, R. R., Carlson, T. N., Cui, J., Kustas, W. P., and Humes, K. S. (1997) : A verification of the 'triangle' method for obtaining surface soil water content and energy fluxes from remote measurements of the Normalized Difference Vegetation Index (NDVI) and surface radiant temperature. Int. J. Remote Sens., 18(15), pp. 3145-3166.を引用する場合,

× Gillies, Carlson, Cui, Kustas, and Humes (1997)によるシミュレーション結果では,

○ Gillies et al. (1997)によるシミュレーション結果では,


言語表現のヒント

ひとつの事柄はひとつの言葉で表現すること

 例えば, 「分光反射特性」と「反射スペクトル」が同じものを指すとすれば, 表記はどちらか一方で統一すること。必要があれば, 初出時に「反射スペクトル(分光反射特性)は, ・・・」などのように, 両者が同じものであることを明記すること。 

 略語は語源(必要ならば和訳も)を説明してから用いること。量が多い場合は, 巻末に「付録」としてまとめて出してもよい。

× 植生の量や活性の指標としてよく用いられるものにNDVIがある。NDVIは赤色域と近赤外域の反射スペクトルから計算され・・・

○ 植生の量や活性の指標としてよく用いられるものにNDVI(Normalizen Differential Vegetation Index; 正規化差分植生指標)がある。NDVIは赤色域と近赤外域の反射スペクトルから計算され・・・

○ 植生の量や活性の指標としてよく用いられるものにNormalizen Differential Vegetation Index (NDVI; 正規化差分植生指標)がある。NDVIは赤色域と近赤外域の反射スペクトルから計算され・・・

体言止めやテン(, )を不用意に使わず, 助詞・接続詞を用いること。

複数の修飾語は, 長いものを前に出すこと。

× 緩やかな, 花崗岩の風化が進んだ斜面
○ 花崗岩の風化が進んだ緩やかな斜面

手法, 実験結果, 観測結果など(終ったこと)の記述には過去形を用いること。一般論や法則, その考察などについては現在形を用いること。

× 葉面積指数の測定はLi-Cor社のLAI2000を用いる。
○ 葉面積指数の測定はLi-Cor社のLAI2000を用いた。

× 図6によると, 葉面積指数は6月上旬に急激に増加していることがわかる。
○ 葉面積指数は6月上旬に急激に増加したことがわかった(図6)。

○ このような場合には多層モデルが有効であると言われている。

「簡潔に書く」ヒント

まず「正確に」書く。間違った文章ほどわかりにくいものはない。

いらんことを書かない(藪蛇)。

パラレリズムを大切にする。

次のような表現は, それぞれ, 上下のどちらが「簡潔」でしょうか?

100人中80人がわかってくれる文章をめざそう

 読者の中には, かしこい人もかしこくない人もいる。予備知識のある人もない人もいる。辛抱強い人もそうでない人もいる。そういう人びと全てにわかってもらう文章を書くのは難しいけれど, せめて, 8割の人にはわかってもらえる文章をめざそう。いま自分が書いた文章やその言葉遣いは, 100人中, 何人が理解してくれるか? もっとわかってもらえる表現はないか? そういうことを常に考えることが大切である。

指導教官に持っていく前に


参考書など

 とりあえず, 以下のような本に目を通して下さい。ちょっとした本屋なら店頭に必ず置いてあります。

杉原厚吉:「理科系のための英文作法」, 中公新書

英文で論文を書くときのノウハウがつまっているが, 日本語論文の作成にも参考になることが多い。

杉原厚吉:「どう書くか−理科系のための論文作法」, 共立出版

 この種の本ではベストの本だと思う.上の「理科系のための英文作法」のアイデアを日本語の論文にも拡張したような内容。下の木下是雄が長らく定番だったが,もはやこの本で決まりでしょう。良い技術・科学文章を書くためのテクニックが, 徹底的に具体化・法則化されている。なにしろ, もともと機械翻訳などの研究で「どうやったら機械に文を解釈させることができるか」という視点から派生して「どういう文が機械にわかりやすいか」という観点から生まれたアイデアなのだから。

木下是雄:「理科系の作文技術」, 中公新書

定番だが, 内容的にやや古い。まずは「どう書くか−」を読むべき。

本多勝一:「日本語の作文技術」, 朝日文庫

ジャーナリストが作った, 正確・簡潔・明快な文を書くためのマニュアル。上記の修飾語の順序などは, この本に説明してある。

また, 下記のウェブサイトは参考になります。

若手研究者のお経

科学技術情報流通技術基準(SIST)・・・科学技術庁のガイドライン。特にSIST02に, 引用文献の書き方が詳しい。

論文作法の英養素